2018年2月26日
『21世紀エネルギー革命への対応』
現在、私たちは、また新たな変革を迎えようとしています。21世紀エネルギー革命です。2016年の電力自由化、2020年4月に予定されている発送電分離は、従来までの国のエネルギーシステムが変化の時代を実際に迎えていることを示しています。先行する欧州では、分散型エネルギー源(DERs)である再生可能エネルギーを用いたシステム(風力、太陽光、バイオマス)が、既に大規模に導入されています。
我が国においては、2030年までの電力における再エネ率22-24%(経済産業省、2015年7月16日付)を公式に掲げています。そして、再エネ導入率は、その後も続伸することが予想されています。この新しいエネルギー革命は、社会インフラ、そして国の産業構造に大きな変化を齎すと考えられています。
2018年1月、IRENA(国際再生可能エネルギー機関)の発表によりますと、2020年度までに陸上風力の発電コストは約5.35円/kWh、太陽光とCSPは約6.42円/kWh、洋上風力は約10.7円/kWhにまで低下すると予想されています。現状において発電の主流である化石燃料を用いた火力発電のコストと十分に競合することが考えられ、今後、火力発電の大部分が再エネによって代替されるとされています。
このシナリオの場合、再生可能エネルギーの特性である、安定しない出力、そして地域に分散しているという点を、最適に制御する必要が生まれます。国全体の電力の需要曲線(通年、1日)には一定の傾向が存在します。不測の事態に対応できる予備電源の確保を含め、この曲線に十分に対応できるような給電体制を整えることが重要になります。
具体的には、導入済みの再エネ発電源全体の発電パターンを電力の需要曲線に適合させる作業が必要になり、この目的のために蓄電技術が用いられます。また、天気予報技術を用いた発電量予測技術の開発も欠かすことができません。
各地に分散した再エネ発電源の発電量の推移を的確に把握(見える化)、監視しながら、国全体の電力需要曲線に対して、無駄なく電力を供給するシステムが、理想的と言えるでしょう。また、各産業セクターにおける省エネ(省電)化、電力需要の急増時、需要家の側から消費を抑制するなど、所謂デマンド・リスポンス機能を並行して整備することも、需給調整業務上、大きな意義を持つと考えられています。
私たちの国土にも豊かに存在し、今後大規模な導入が期待される再生可能エネルギーを用いて、エネルギー・ミックスの最適化を図り、国の主要産業を効率化し、可能な場合、新しい成長産業を育成することが、いずれにしても私たちの最大の課題であり、21世紀エネルギー革命は、そのための大きな機会を提供する可能性があると言えるでしょう。