低エクセルギー型空調システム

 

 

気温35度の日本の真夏、室内温度を25度にするための空調システムには、大きく分けて2つの方式があります。高エクセルギー型と低エクセルギー型です。

 

高エクセルギー型は、極端に低い温度の冷熱源(7度ほど)を用いて、急激に、短時間で、真夏の室温を35度から25度まで低下させるシステムです。

 

それとは反対に、低エクセルギー型は、身の回りに普遍的に存在する穏やかな冷熱源(通年15度程度に保たれる地下冷熱源など)を、ゆっくりと長い間作用させることで、真夏の室温を35度から25度まで低下させるシステムです。

 

熱源と、その作用対象の温度差が大きいほど、この熱源から取り出せる有効エネルギーは大きくなります。この有効エネルギーは、エクセルギー(Exergy)と呼ばれます。

 

当然のことながら、高エクセルギー(高有効エネルギー)型の空調システムを用いるためには、極端に低い温度(7度)の冷熱源を、気温35度の日本の真夏に作り出す必要があり、そのためには、多大な労力、エネルギーを必要とします。

 

しかしながら、低エクセルギー(低有効エネルギー)型の空調システムを用いる場合は、作用する有効エネルギーが小さくても、それを長時間、ゆっくりと継続的に利用することができれば、真夏の室内温度を25度まで下げることが可能になります。身の回りに普遍的に存在する、このような冷熱源(通年15度程度に保たれる地下冷熱源など)を自然循環的に継続利用すれば、無駄な労力、エネルギーを消費することなく、快適な室内空間を作り出すことができます。

 

これと同様に、外気温度5度まで下がる日本の真冬においても、エネルギーを浪費することなく、スマートに、室内を快適な18度に保つために、低エクセルギー(低有効エネルギー)型空調システムは、非常に有効であると考えられています。

 

 

エネルギーの有効利用の問題が、大きな課題となっている21世紀において、より持続可能な社会インフラの整備事業をより一層推進するためにも、建築概念の基礎、空調システムの最適化、改善は、非常に重要な意味を持っています。