北欧の暮らし:MIDSUMMER'S DAY
北欧(スカンディナヴィア)では、夏至の日を、一年の最も大きな祭り、MIDSUMMER'S DAY(真夏の日)として祝います。高緯度に位置し、一年を通じて冷涼な気候が続くこの地域では、長く暗い冬の後に、短い夏が一瞬の輝きのようにして訪れます。
多くの時間を屋内で費やすことになる冬季、家の中の環境を可能な限り快適にする工夫が凝らされます。伝統的な家で見られる低い天井は、暖炉の熱を室内に留める役割を担い、半地下に作られた部屋は外気との断熱性を高めます。
また、北欧の建築や調度品には、質実な機能性だけに留まらず、夏を想起させるような意匠が付け加えられていることが多くあります。近隣の西欧諸国のデザインには見られないこの独自性は、北欧の生活において、冬を少しでも明るく、楽しく乗り切るための効力を確かに発揮しているようです。
厳しい自然環境の中にあって、時代によって形を変えながらも、地域特有の需要に基づいた生活の知恵や工夫が、日々をより豊かにする一助として働いてきた歴史が伺われます。